「コロンバイン 銃乱射事件の真実」




少し前からちまちまとページをめくっていた「コロンバイン 銃乱射事件の真実」をこの火曜日に読み終える。大変に刺激的な作品で、久しく忘れていたあの奇妙な殺戮の行為に関して、ぼくの認識を全く新たにしてくれた。
襲撃が行われてから既に10年の月日が経っているが、それだけの時間をかけねばならなかった必然性がはっきりと感じ取れる。現時点で、事件に関してもっとも多面的に、詳細に分析された本だと思われる。


欲を言うならば、この発言をしたのが誰なのか、状況が何時なのかが少し分かりづらいなど、訳が気になる箇所があるのと(様々な関係者が入り乱れて人名が煩雑なので、人物一覧など、もう少し補助的な資料も欲しかった)、あとは、村上春樹の小説のようなデザインの原書に比べて、日本語版は実にダサいのが残念だった。アメリカ人には「コロンバイン」だけで話が通じるが、日本ではそうもいかないし、河出版は分かりやすさと扇情性も重視したのは分かるのだけど、下品なのは確かだ…。


  



最初にリブロ渋谷で見つけたときは森達也の推薦文に惹かれたのだったが、予想以上に面白かった為、読了した日と翌日に、Twitterに長々と細切れで感想を呟いた。
今回のエントリは、それをほぼ再構成せず、そのまま転載してみることとする。Twitter記法を使ってみる良い機会でもあるし…。




ー 以下転載 ー




ツイートをそのまま転載すると縦スクロールが異常に長くなるが、TwilogTwitterでは連投を最初から順に、上から下に読むことはできないわけだし、スパッと140文字づつ書ききった(たまに直に次に流れるが)ものを一つづつ読んでいくのも、それなりにテンポが良いかもしれない。


そして、これが、著者・デイブ・カリンのウェブサイト。
http://davecullen.com/columbine.htm 


事件の写真や動画、エリックの殺人計画日記「神の書」、ディランの悲嘆にくれる日記も公開されているので、興味のある、英語にかなり明るい方は一読されることを勧めます。
冒頭に貼った動画で、M.ムーアの映画以来、ひさしぶりに二人の動く姿を観たのだけれど、「地下室テープ」の撮影のためにカメラへ映る二人は、友人たちと喋っているときのひ弱で気さくな印象と比べ、明らかに異常に見える。が、それも、「事件を起こした」という結果から導き出したイメージに過ぎないのかもしれない。


「全員殺す。まだわからないやつのためにはっきり言う。『全人類を滅ぼす』」
「オレたちは革命を起こす」「オレは人類に宣戦布告する、これは戦争だ」


「神の書」にこう書き殴ったエリックは実際に行動を起こしたわけだが、喜悦のうちに(?)人を撃ちまくって、満足したのだろうか?
「裁きの日」と書いたディランは、一体本当にそんな感覚に包まれながら、自分の頭をふっ飛ばしたのだろうか?


銃を乱射しながらエリックとディランは、何を思っていたのだろう。
学友たちを次々に射殺しながら、何を願っていたのだろう。
そして自らの頭蓋を撃ちぬく瞬間、何を祈っていたのだろう。


ぼくも、やはり森達也と同じように、「何を?」と思ってしまうのだ。