2010-01-01から1年間の記事一覧

素描:2010.12.31

大晦日だ。 もうすぐ、2010年が終わるということだ。 「アッと言う間だった!」「年々、月日の経過が、早く感じる」 こうしたひどく月並みな文言ばかりが、強く「からだ」に実感される。そのたび、自分の語彙の凡庸さにたじろがざるを得ない。まさに、唖然と…

素描:「【素描する】こと」

Twitterを使う頻度が増しているせいか、エントリで社会通念的な意味での「日記」をほとんど書けていない。 春先にこのブログをはじめたころは、中原昌也の「作業日誌」やエルヴェ・ギベール「憐れみの処方箋」(しかし、これは本当に素晴らしいタイトル)の…

短編を終えたことと、書くこと/書かないことについて

いつの間にか、更新が一ヶ月近く滞っていた。 恐ろしいことだ。時間というのは、実際、物理的に伸縮するのではないか? ここ三週間は久しぶりに集中して短編小説に取り組んでいたから、エントリを書く余力がなかったのだ。 短編は、大学院のころに在籍してい…

チャイニーズ ガールズ@トウキョウ

◆ 今年の晩夏、Skype上で、中国から東京に留学している女の子と知り合った。 名前をMちゃんと言って、ハルピン生まれの朝鮮族だった。出自もあって、十代前半から日本語の勉強に熱心になった親日家だった。 7月に、日本語教育について学ぶため、外語大への入…

「コロンバイン 銃乱射事件の真実」

◆ 少し前からちまちまとページをめくっていた「コロンバイン 銃乱射事件の真実」をこの火曜日に読み終える。大変に刺激的な作品で、久しく忘れていたあの奇妙な殺戮の行為に関して、ぼくの認識を全く新たにしてくれた。 襲撃が行われてから既に10年の月日が…

画家の部屋@小崎哲太郎

高度 130.3x97.0(cm) oil on canvas 2010 気圧 oil on canvas 145.5×145.5 2009 ◆ 終わりつつある今秋の某日、取手まで遠征した。 予備校の先輩であり、先日結成された「新宿文藝シンジケート」の一員でもある画家・イラストレーター、小崎哲太郎さんの自…

メモ・第一回新宿文藝シンジケート読書会「哲学実技のすすめ」終了

◆ 以前のエントリでも紹介した、「新宿文藝シンジケート」の第一回読書会が、予定通り10月30日に開催された。 【新宿文藝シンジケート】公式ブログ http://d.hatena.ne.jp/sbs_reading_circle/ ◆ 当日まで人数は流動的な状態だったが、最終的に、この日の参…

Oval、来日(2/2)

(1/2からの続き) 渋谷慶一郎が登場すると、拍手と歓声が起きる。 この日はかれの出番を楽しみにしている客も多かったようで、周囲のサブカル女子たちの何人かがはしゃいで、ワーワー言っている。 あー渋谷さんありえないくらいカッコ良いってーー! ねーオー…

Oval、来日(1/2)

◆ 10月15日深夜から16日朝にかけて、異能のドイツ人音楽家、Ovalことマーカス・ポップの来日公演「Oval Japan 2010」を観るため、代官山UNITに出かける。 2010.10.15 FRI oval Japan 2010 http://www.unit-tokyo.com/schedule/2010/10/15/101015_oval.php ぼ…

新宿文藝シンジケート読書会について

◆ 10月30日から新宿文藝シンジケート=S・B・Sという集まりで読書会をすることになった。 定期か不定期かはまだ不明だけれど、今後、継続的に開かれていく予定だ。 ◆ 新宿文藝シンジケートは、元々ただ内輪の呑み会に遊びで名前を付けていただけなのだが、命…

愛の酔っぱらい賛歌

秋である。 ビールだけが最高であった季節は終わり、これから色々なアルコールがぼくらを楽しませてくれる気候となる。 それに合わせて、一つの詩を紹介したい。 日本人のみで編成されたハイレベルなキューバン・サルサ・バンド「Grupo chevere」などで歌手…

素描 : 「9.27」

◆ 朝から雨。わりと激しめの雨。ここのところ、下痢腹みたいな天気が続いていて、残念に思う。そのせいで、一気に気温も下がってしまった。 ぼくは日本人の一般男性平均よりかなり痩せているので、寒いのは苦手だ。 今年の猛暑はさすがにきつかったが、それ…

吉川陽一郎個展「街で迷うために」

◆ 9月19日、日曜。 平日と変わらずに粛々とバイトを終えたあと、大学時代からずいぶんとお世話になっている作家(いや、彫刻家、と呼ぶべきなのだろうか?)、吉川陽一郎さんの個展を見るため渋谷、ギャラリー・ルデコへむかう。吉川さんとは、三月にも仙川…

素描 : 9.23

◆ 朝から涼しい。 バイトに向かうため、駅へと走る躰を包む空気がひんやりと快適。雨の気配。天気予報どおり、午前の、帰宅途中から大雨。今日から一気に秋に切り替わるのだという。夏がついに送葬されるのだという。さびしい気もするが、躰は楽になる。 毎…

不可解さのバーネット・ニューマン

夏の終わりの佐倉「詣で」 ◆ いまや、世界にとって重大な日になってしまった「9月11日」の土曜、川村記念美術館まで、バーネット・ニューマンの「個展」を観に出かける。 展示の詳細は下記↓ http://blog.goo.ne.jp/harold1234/e/caf7259ef7eadc7a3e69073de65…

西へ2010。犬島と維新派

1 ◆ 徳山で回天を見た翌日、つまり、7月22日の14時前、ぼくは岡山駅の東口にある桃太郎像前に座っていた。人を待っていたのだ。 ◆ 待ち人と一緒に、瀬戸内海に浮かぶ犬島で、維新派という奇妙な劇団の公演を観ることになっていたのだ。 ◆ 待ち人の名前は、ナ…

アンヴィル!アンヴィル!アンヴィル!

※ 最近ようやくこの映画のDVDを買ったので、昨年、劇場で観た直後に書いたテキストを公開します。 何らかの創作による自己表現を、本気で、真剣に志す人間は、誰でも心のどこかで自分のやっていることの正当性を確信し、意欲と熱意を持っているものだ。 しか…

50年後のふたり

■ 今朝、3時50分ころ、フランス人の老婆から母へ国際電話がかかってきた。 ■ 電話をとったのはぼくだった。 5時すぎにはバイトへ行くため起床しなければならなかったから、そろそろ寝ようと思っていたところにリビングで突然着信音が鳴り出した。発信者番号…

西へ2010。徳山・回天.2

■ (前回からの続き) 深酒した翌朝の気分はいつも最低だ。 2時ころ泥酔いのままHさんとホテル前で別れ、ベッドにダイビングした記憶があるような、ないような状態のまま、朝7時には携帯電話の容赦無いアラームに叩き起された。当然ながら二日酔いの状態だっ…

西へ2010 回天と徳山.1

7月の19日夜から25日昼にかけて、地方に住む知人・友人を訪ねてまわった。 19日夜に新宿を出る夜間高速バスで大阪まで行き、そこから青春18切符を使う鈍行による移動で山口県の徳山まで向かって、岡山、奈良、大阪、静岡と途中下車し、東京まで鈍行で折り返…

ニッポンの/ニホンの/トウキョウの、青

■ 数日前から、東京には夏が出現している。 夏、夏、そう、夏が!じめじめと陰鬱・悲惨な梅雨を蹴り飛ばして、退場させた。 都市としての東京が目覚めきらない時間から既に、朦朧とさせられる熱気が矮小な人間たちの躰を包んで、じっくりと蒸し上げて、へた…

錯覚/空/切り取られた四角の空間は視覚に絵画を生む/

じめつくのと同時に肌に心地良い涼風が吹く空気の中を歩きながら空を見上げてみる。 なまのカラーフィールドが目の前に広がっている。 適量のコバルトとセルリアンと、ほんのわずかのウルトラマリン。 そしてパープルではなく、濃いカドミウムレッド。そこを…

今年もOmar Sosaが

ぼくが愛して止まないキューバ人ピアニストがまた日本へとやってくる。 今年も、オマール・ソーサ/Omar Sosaが来日公演を行う。 7月31日、青山スパイラルでの無料ミニ・ライブを皮切りに、8月1日のモーション・ブルー横浜、2、3、4日はブルーノート東京、5日…

ラーメン死闘

【太郎らーめん、麺200g、油まし、野菜増し】 ■ 本当に死ぬかと思った。 なんなんだろう、これは。 ■ ぼくの住む聖蹟桜ヶ丘には、ラーメン二郎のインスパイア店が二つある。 一軒目は、池袋の有名ラーメン屋である大勝軒から暖簾分けされた「新化勝軒」。 も…

至福のアフリカン・ルンバ

■ 素晴らしい。 まったく素晴らしいブラック・ミュージックだ。 ※ このエントリは下記のリンクを再生しながら読んでいただくと、より楽しめるでしょう! ■ 高校二年の終わりくらいからの十年近く、ぼくはキューバのポピュラーミュージックを中心に音楽を聴い…

亡命者たちについてのメモ

2010年3月の末、一人の若いキューバ人ボクサーがアメリカ合衆国に亡命した。 かれの名前はヨルデニス・ウガス・エルナンデス/Yordenis Ugás Hernándezといった。 ウガスは、北京五輪の銅メダリストだった。そして、二年前に中国で戦ったボクシング・ナショナ…

今村祈履の魅力と「SCOPE」の完成度は無関係

■ 最近、性犯罪の記事がmixiニュースとかに並ぶと、 「性犯罪者は全部死刑にするか去勢しろ!」 みたいな攻撃的トーンを全面にした日記がダーッと書かれてるのが目につく。 それ以外の犯罪に関しては、死刑制度賛成か反対かで、たいていは争いになっている。…

スパム!スパム!スパム!

■ しばらく止まっていたのだけれど、最近、また携帯やPCに出会い系のエロいスパムメールが来るようになった。 それほどの数ではなく、適度にウザいが、あくまで適度なので、まあ本気で拒否リストに載せることもなく、ふだんは粛粛と削除している(メールフィ…

椅子:アーロンチェア

■ ぼくが毎日多くの時間その上で過ごすアーロンチェア(ランバーサポート、フル装備)を、撮影。 ■ このイカツイ椅子が世間でどれだけの知名度を持っているのか知らないが*1少なくとも、ぼくにはとてもフィットして、大いに快適なのである。 製造メーカーで…

二ヶ月

■ 二ヶ月。 ■ 大学院を出てからこの四月まで、ちょうど二年間、週六日間アルバイトとして務めていた老舗の洋食レストラン会社の系列店を辞めて、もうすぐ二ヶ月が経とうとしている。 辞めた、というか、より正確に表すなら、とある事情でその店自体が消滅し…