「ある風景」

多摩丘陵・散歩日記・Part.2

Part1からの続き 旧聖蹟記念館がある公園からすぐのところに位置する慰霊苑には、「拓魂」と掘られた石碑が据えられている。 「満州開拓殉難者之碑」と名付けられたその慰霊碑は昭和38年に建立されたもので、敗戦後に満蒙から引き揚げてきた開拓移民関係者が…

多摩丘陵・散歩日記・Part.1

先週のこと。完全に散ってしまう前にと、自宅から歩いて三十分ほどの都立桜ヶ丘公園・大谷戸公園へ桜を見に行った。 ここは多摩丘陵に三つの公園が重なって形成される場所で、中心部の「旧多摩聖蹟記念館」周辺は地味ながら独自の雰囲気を持った桜の名所だ。…

ニッポンの/ニホンの/トウキョウの、青

■ 数日前から、東京には夏が出現している。 夏、夏、そう、夏が!じめじめと陰鬱・悲惨な梅雨を蹴り飛ばして、退場させた。 都市としての東京が目覚めきらない時間から既に、朦朧とさせられる熱気が矮小な人間たちの躰を包んで、じっくりと蒸し上げて、へた…

錯覚/空/切り取られた四角の空間は視覚に絵画を生む/

じめつくのと同時に肌に心地良い涼風が吹く空気の中を歩きながら空を見上げてみる。 なまのカラーフィールドが目の前に広がっている。 適量のコバルトとセルリアンと、ほんのわずかのウルトラマリン。 そしてパープルではなく、濃いカドミウムレッド。そこを…